「期待(予測)に反する結果」を導く only to

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「期待(予測)に反する結果」を導く only to

 

基本文法や基本構文で習ったことをいかに生かすことができるかが、英文読解では大切です。

そういう例を、近畿大学医学部(2017年度)の読解問題(一部掲載のみ)で見ていきましょう。

英文法の授業で、準動詞の不定詞(副詞的用法)を扱った際、only toの用法を学んだはずです。

only toは「期待に反する結果」を導く。

この「期待に反する結果」という点が重要なのです。

ここでの「期待」は、「希望する」という意味ではなく、「予測する」という意味です。

一部の参考書や予備校のテキストなどに「よくない結果を導く」と説明されている

ものもありますが、

その理解では、英文の区切りがわからなかったり、最悪の場合、本文の内容が読めなかったりします。

only toは「期待(予測)に反する結果」を導く。

と、しっかり理解しましょう。

具体例を見ていきましょう。

He worked hard to carry out his plan, only to fail.(ジーニアス英和辞典より)

「彼は自分の計画を実行しようとけんめいに努力したが、結局失敗に終わっただけだった」

→ worked hard「けんめいに努力した」のはsucceed「成功する」ことを期待したからです。

しかし、その期待に反してfail「失敗した」のです。

I told the truth only to find that I was not believed.

「真実を語ったが、信じてもらえなかった」

→ told the truth「真実を語った」のは、be believed「信じてもらえる」ことを期待したからです。

しかし、その期待に反してwas not believed「信じてもらえなかった」のです。

ここで、注意点を一つ挙げておきましょう。

only to ~の前に常にコンマがくるわけではありません。そのため次のケースと間違わないようにしましょう。

A child does not play spontaneously only to while away the time.

「子供は、ただ時間を無為に過ごすために自発的に遊んでいるわけではない」

この場合は、副詞的用法・目的のtoにonlyが付いているだけで、「ただ~するために(ためだけに)」という意味になります。

文脈判断ということになりますが、

基本的には「期待(予測)に反する結果」を導くonly to

としっかり理解したうえで、「ただ~するために(ためだけに)」という意味になることもあると頭の隅に留めておきましょう。

さて、本題に入ります。

〔問題〕次の英文を読んで、下の問に答えなさい。

近畿大学医学部(2017年度)より一部抜粋

In considering what we share with our ape relatives, the easiest comparison is in fact between male chimpanzees and men. Chimpanzee males hunt together, form coalitions against political rivals, and collectively defend a territory against hostile neighbors, yet at the same time they vie for status and compete for females. This tension between bonding and rivalry is very familiar to human males on sports teams and in corporations. (  1  ) In You Just Don’t Understand, the linguist Deborah Tannen reports how men use conflict to negotiate status, and actually enjoy sparring with their friends. When things have gotten heated, they make up with a joke or apology. (2)Businessmen, for example, will shout and bully at a meeting, only to take a restroom break during which they joke and laugh it all off.

問1 空所(1)に入れるのに最も適切な文を、(ア)~(エ)の中から一つ選び、その記号をマークしなさい。

(ア)They try to play fair in a sports game and at they workplace at first, but they most likely end up ruining their rival’s efforts due to their competitive nature.

(イ)For example, tensions between two male opponents in a match can make their relationship deeper and amazingly lean them to choose almost the same offence strategies.

(ウ)Men intensely compete among themselves while still realizing that they need each other to prevent their team from going under.

(エ)It is now concluded from the observed comparison that chimpanzees and human beings have evolved a similar pattern of neural networks concerning an empathy ability.

 

問2 下線部(2)の意味として最も近いものを、(ア)~(エ)の中から一つ選び、その記号をマークしなさい。

(ア)In order to keep a friendly atmosphere where they can joke around, people working at a company learn how to stand being shouted at or bullied.

(イ)Businessmen sometimes have to voice their sincere opinions in a more direct manner so that they can get along with each other during off-duty hours.

(ウ)One example is that men at work often show opposite attitudes in different situations such as shouting jokingly and laughing sarcastically.

(エ)Men in business settings sometimes get excited and criticize each other at a meeting, but they often try to be on good terms outside the room.

〔解答・解説〕

プロの文章家は、

同じ内容を述べるのに単語や表現を変えてくる

ことを覚えておきましょう。

問1

前文で

This tension between bonding and rivalry is very familiar to human males on sports teams and in corporations.

「きずなと対立との間にあるこの緊張関係は、スポーツや企業内で、人間の男性にはかなり馴染みのあるものである」

と言っています。

This tension between bonding and rivalry 「きずなと対立との間にあるこの緊張関係」が、前文の「チンパンジーのオス」の行動に関する記述を指していることはあきらかです。

Chimpanzee males hunt together, form coalitions against political rivals, and collectively defend a territory against hostile neighbors

「チンパンジーのオスは、集団で狩りをし、政治的ライバルに対しては共闘し、傍にいる敵対者に対しては共同して縄張りを守る」

という文が、bonding「きずな」に相当します。

しかし同時に(yet at the same time)

they vie for status and compete for females.

「彼ら(チンパンジーのオスたち)は、地位を得るため張り合い、メスを巡って競い合う」

と言っています。この文がrivalry「対立」に相当します。

vieという語はあまり馴染みがないかもしれませんが、

プロの文章家は、同じ内容を述べるのに単語や表現を変えてきます。次の基本語compete forと同じ意味だと推測できるはずです。

ここまで読めれば、

「人間の男性にも、きずな-協力して事に当たること-と、対立-お互いに競い合う-という、緊張関係が存在する」

とわかります。

それと同じ内容を述べているのは

(ウ)Men intensely compete among themselves while still realizing that they need each other to prevent their team from going under.

「男性は、互いに激しく競い合うが(対立)、しかし同時に、自分のチームが負けることを妨げるためにはお互いを必要としていると認識している(きずな)」

だとわかります。

・・・, while ~ingは、「・・・と~が同時に起こっている」ことを表し、「・・・し、そして同時に~。~しながらも(同時に)・・・」という意味の重要表現です。「・・・と~が対照的なことを表す」(・・・し、しかし一方~)用法ではないので注意しましょう。

「それでも、それにもかかわらず」を意味するstillがあるので、「・・・し、しかし同時に~する」と読めばいいでしょう。

問2

下線部の前半で

Businessmen will shout and bully at a meeting

「ビジネスマンは会議で叫び威張り散らすものだ」

(willは「習性・傾向」の用法で「~するものだ」という意味)

と言っています。

bullyは「威張る、~をいじめる」という基本語ですが、その意味がはっきりわからなくても、この文が前文の

When things have gotten heated

「状況が白熱したとき」

に相当することから、言っている内容が推測できます。

only toは「期待(予測)に反する結果」を導きます。

「会議で議論がヒートアップし、場合によってはののしり合うこともあります。そのままいけば、お互い仲違いをして終わるという結果が予測されます」

しかし、only toは「期待(予測)に反する結果」を導くので、

予測に反して

take a restroom break during which they joke and laugh it all off

 「トイレ休憩をとって、その間、冗談を言い合ってすべてを笑って片づける」

のです。

この文は、前文の

make up with a joke or apology

「冗談を言ったり、謝ったりして、仲直りする」

に相当します。

前述のように、「よくない結果を導く」という理解では本文の内容を読み間違えます。「冗談を言い合ったりして仲直りすること」は、「よくない結果」ではなく「いい結果」なのですから。

only toは「期待(予測)に反する結果」を導く

という読み方を心がけましょう。

以上の内容が読めていれば、正解は、

(エ)Men in business settings sometimes get excited and criticize each other at a meeting, but they often try to be on good terms outside the room.

「ビジネスの場で、会議中、男性は時には興奮しお互いを批判するが、しばしば(会議の)部屋を出ると良好な関係を築こうとする」

とわかります。

A be on ~ terms with B

「AはBと~の間柄(関係)である」

は重要な慣用表現です。

be on good terms with ~「~と仲がよい、良好な関係である」

be on bad terms with ~「~と仲が悪い」

be on speaking terms with ~「~と言葉を交わす間柄である」

 

基本的な事(文法・構文)を押え、それをいかに実戦の場で生かすことができるかが、勝敗の分かれ目になります。